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連載コラム

VOL.11 山崎和樹(草木染研究家、東北芸術工科大学非常勤講師)

山崎先生の授業風景

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VOL.11 山崎和樹

藍葉の摘み取り

藍葉の摘み取り

草木染の色(絹糸)

草木染の色(絹糸)

講師著書『新版 草木染 四季の自然を染める』(山と溪谷社/2014年)

講師著書『新版 草木染 四季の自然を染める』(山と溪谷社/2014年)

現代社会において、先生が日常感じられることの中で、足りない(欠けている)と感じられることにどのようなことが挙げられますでしょうか。

潤沢な水と温暖な気候による豊潤な緑の大地から、日本の文化が生まれ、その「美意識」は長い歴史の中で育まれてきたのだと思います。私が子供の頃、半世紀程前ですが、里山は水がきれいで動物も植物の種類も多く、泥んこになってよく遊びました。育った家の周りは田んぼがあり、稲はすくすくと育って、色が若苗色から苗色にかわり、秋は黄金色になっていました。その美しい色の変化を今でも鮮明に思い出すことができます。近年、水田は減り続け、山林は荒廃し、美しく生命力にあふれた里山は身近ではなくなってきています。今日の都市化した生活の中で不足してきているのは、四季の自然の恵みを俊敏にとらえて、日々の生活を享受できる「感性」だと思います。

そのような「感性」を磨くには、どうしたらよいのでしょうか。

ひとつの方法として、芸術の歴史をひもとくことだと思います。たとえば、平安時代、中国風の唐風文化から日本独自の国風文化へと移り、色彩においても貴族を中心とする華麗な服飾文化が起こります。後世、十二単の名で知られる単の上に何枚もの袿(うちき)を重ね着する独特の装束がこの時代に生まれました。この重ねた装束の色で季節感などを表現する配色の妙を襲色目(かさねいろめ)と言います。襲色目の四季の衣の色として「紅匂」、「松重」、春の色として「山吹匂」、「躑躅」、夏の色として「卯の花」、「白撫子」、秋の色として「紅紅葉」、「櫨紅葉」などがあり、これらの配色から平安貴族の「感性」を学び取ることができます。

先生は、これからの社会を生きる上で大切にすべき視点(=美意識)をどのような点にあると考えますか?

日本の自然は、世界的に見ても生物多様性が高いと言われ、四季折々、多彩に変化する自然の姿を見ることができます。この自然の豊かさを表している緑系の伝統色名として、淡萌黄、萌黄、黄みの萌黄である鶸萌黄、若苗色、苗色、草色、苔色、青竹色、木賊色、松葉色、柳葉色、裏葉柳などがあります。微妙な色の差を区別するために色名を付けてきた先人の感性に驚かされます。このように自然と共存してきたして先人の感性を学ぶことで、自然観や生命観を見極めることができる美意識に繋がると思います。

先生が今季(2015年秋季)ご登壇される講座(「日本の色」)で伝えたいことをお教えください。

日本の色とは、どのような染と織から生まれてきたのか、青や赤などの古代、中世の色彩の世界はどこから来たのかを、色の原点から探ります。また、染料植物の種類、媒染剤、助剤についての染色技術だけではなく、絹糸の品種、糸紬の方法、手織の技、繭作りや染料栽培の必要性も含めて具体的に解説し、歴史的背景も伝えたいと思っています。化学合成染料の普及によって、天然染料はほとんどを使われなくなり、多くの人がその色や特性を知らないのが現状です。人類5000年の染色文化を継承することは重要であり、天然染色の長所、短所を学び、環境に適した染色として作品制作に応用してほしいと思います。

最後に、受講生へエールをお願いいたします。

各々の講師は天然染色に長年関わっておられる研究者、染織家、美術家です。講義内容から各講師の人生観、美意識などを学びとり、現在の生活を豊かにする芸術の糸口を見つけてほしいと思います。

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