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連載コラム

VOL.13 小杉宰子(建築家、京都造形芸術大学准教授)

DIY中の事務所にて

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VOL.13 小杉宰子

京都の住宅

京都の住宅

ダンボールでつくったこども用の椅子

ダンボールでつくったこども用の椅子

ガラス作家展の会場構成

ガラス作家展の会場構成

人・社会・暮らしなど現代社会において、先生が日常感じられることの中で、足りない(欠けている)と感じられることにどのようなことが挙げられますでしょうか。

今、幼児の子育てにも奔走していますが、こどもがおもちゃで遊んでいるのをみていると、使い方が限定されたもの、例えば、ティッシュを箱から出す動作を楽しむおもちゃなどでは、とても集中して遊んだ後飽きてしまうとその後は見向きもしなくなります。一方で、昔からある折り紙やねんどなどその使い方に自由度のあるものは、当初それほど強い関心を示さなくても、成長と共にこちらが想像もしないような見立てをして、遊び方を自らつくりだし繰り返し持ち出して遊んでいます。そんな様子を見ていると、さまざまな欲求に対して的確に応える細分化された便利な道具やものが次々と製品化され、私自身、時間に追われる日々の生活のなかでその利便性をおおいに享受しているのですが、一方で、工夫してみるというような想像力を働かせる余裕やコミュニケーションをはかる余地がどんどん無くなっているように感じています。

そのことに対し、「芸術」が役立てること(「芸術」を学ぶ意味)とはどのような点にあるとお考えでしょうか。

私の専門は建築デザインですので、「芸術」とカギカッコ付きで聞かれると少し身構えてしまいますが、学ぶ意味としては、普段とは異なる視点を獲得できること、あるいはそのトレーニングを重ねられることにあると思います。住宅を建てることを想像してみてください。建てるためには敷地が必要で、その土地の持つポテンシャル、風土や風習、方位なども考慮しますし、固有の法的な規制があり、地盤や道路状況などによって構法が限定されることもある。そして、工期や予算といった現実的な条件が必ず付いてまわります。それだけ与条件があれば、できあがる住宅は同じようなものになりそうなものですが、建て売り住宅やハウスメーカーのもの、そして建築家と呼ばれる人たちが設計したものでは違いを感じるのではないでしょうか。建築家の設計は表層的なデザインが美しいとか奇抜であるという指摘もあるかと思いますが、現実的で差し迫った問題を前にしても、土地の持つ魅力の活かし方やオーナーの真の欲求を具体化するための方法がないか、本質的な課題を発見してそれをかたちにまとめて解決することを行っているともいえるでしょう。その際に必要なのが、多様な視点で観察して考えられる柔らかなあたまを持ち続けること。それには、「芸術」が役立つように思います。

先生は、これからの社会を生きる上で大切にすべき視点(=美意識)はどのような点にあると感じられますでしょうか。

壮大な質問に腰が引けますね。あふれるかえる情報の海とスピードを求められる状況を前に、常識とされるものに流されずに少しだけ立ち止まって、ものごとの本質は何かを考えられる余地と教養的な素養でしょうか。そして、人とのコミュニケーション。本やインターネットから得られるものも大切ですが、やはり立場の異なる多くの人と出会って話をすると思いがけない視点を与えてもらうことが往々にしてあります。学び続ける環境、そして人との出会いの場がうまれる環境を意識的につくることかなと思います。

先生が藝術学舎の講座を通して受講生に伝えたいこと(ないしは、これから企画される講座で伝えていきたいこと)などを簡単にお教えください。

やはり先人から学ぶものは計り知れないので歴史的な背景を学べるものと、そして、現在の世の中でおこっている先端のものを講座として企画していきたいと思っています。それらを通して、多様な視点を獲得できる場がつくれるとうれしいですね。

最後に、これから「芸術」を学ぼうとされている方へ、エールをお願いいたします。

藝術学舎と単位連携をしています京都造形芸術大学通信教育部の建築デザインコースに入学された方々に入学の動機を伺ってみますと、昔から興味があったのだけれども物理や数学が苦手なのであきらめていたが芸術大学で建築が学べると知って、や、自分の家は自分で設計したいと思った、とか、ガウディの建築が好きで好きでたまらないので、など本当にさまざまですが、ともかく、学ぶ環境を自ら手にした方々が来られています。「芸術」の特徴のひとつは正解というものがないことでしょうか。少しでも興味があるのでしたら、まずは門をたたいてその環境にご自身を置いてみる、そして、それから、今後を考えるぐらいがよいように思います。藝術学舎の講座はひとつずつ選ぶことができるので、その環境を手に入れるには、利用しやすい仕組みだと思います。実際に触れるのと頭のなかで想像するのでは大きく異なり、また奥深いのが「芸術」だと思います。

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