京都造形芸術大学

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連載コラム

VOL.15 早川欣哉(建築家、一級建築士、京都造形芸術大学准教授、こども芸術の村 副村長)

アトリエにてジョウラッパを吹く(撮影:甲斐大樹)

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VOL.15 早川欣哉

SUPER BIG BOOK ワークショップの様子(撮影:中村ナリコ)

SUPER BIG BOOK ワークショップの様子(撮影:中村ナリコ)

縄文の土づくりワークショップの様子

縄文の土づくりワークショップの様子

保育園児を対象とした楽焼ワークショップの作品

保育園児を対象とした楽焼ワークショップの作品

人・社会・暮らしなど現代社会において、先生が日常感じられることの中で、足りない(欠けている)と感じられることにどのようなことが挙げられますでしょうか。

東日本大震災から5年が経ちました。スイッチを押せば電気がつき、蛇口をひねれば水が出て、ネットで注文した商品は翌日に届き、スマホで様々な情報を得、瞬時にシェアをする。日々の暮らしの中にあって当たり前だと思っていたライフラインや物流、通信などのインフラやサービスが、あの日、一瞬にして失われました。突然、自然の猛威にさらされなす術もなく、自分の無力さに途方にくれました。世の中が益々便利になる一方で、誰かが提供しているインフラやサービスに多くを依存し、消費し、そのことに無自覚なまま、生きてゆく上で必要不可欠な物事や判断を他人任せにしすぎているのではないか。どのような状況・環境においても応用できる、人間が本来備え持つべき「生きる力」を失いつつあるのではないかと感じています。

そのことに対し、「芸術」が役立てること(「芸術」を学ぶ意味)とはどのような点にあるとお考えでしょうか。

自分の頭で考え、自分の身体でつくるという行為を通じて、ものの成り立ちを学び、その本質に迫ること。自分自身の内面を深く探り、自分の存在や考えを伝える手がかりとすること。多様性を受容し、他者の行為に対する理解を深め、コミュニケーションを増幅させること。身の回りにある美しいものに気付く感覚を養い、もやもやとした違和感を見過ごさず、地に足をつけて生きてゆく為の手段として、根源的な生きる力を培うことに「芸術」を学ぶ意味があるのではないかと思います。

先生は、これからの社会を生きる上で大切にすべき視点(=美意識)はどのような点にあると感じられますでしょうか。

世界を覆うグローバリズムのインフラ、サービスは、個人の意識が届かないところで計画され、維持・管理されています。世の中にあふれる商品は、洗練されたマーケティングによって消費者のニーズを掴み、それが唯一の解であるかのように振舞います。物事を俯瞰し全体像を捉えることが難しい時代にあって、見立てを変えることで、足元にある見過ごしていた価値を見出すこと。ものの見方次第で、世界の見え方が180度変わってくるのではないかと思います。自分の専門分野や目に映っている景色だけにとらわれず、その過程で見えなくなったものや裏側にも意識を傾け、試行錯誤し続ける視点を大切にしたいと感じています。

先生が藝術学舎の講座を通して受講生に伝えたいこと(ないしは、これから企画される講座で伝えていきたいこと)などを簡単にお教えください。

2014年度より、東北のこども達を対象とした芸術教育支援事業「こども芸術の村」プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、こども達が芸術的活動を通して東北の復興の中心的人材に育ってくれるようにというスイスの財団「日本の子供たち」の支援を受け、京都造形芸術大学と東北芸術工科大学が共同で2018年度までの5年間実施し、東北のこども達が、東北の芸術や工芸、文化に触れる機会や国内外の芸術家や職人と交流する機会を提供するなどしています。

藝術学舎の講座では、「こども芸術の村」プロジェクトの取り組みを通じて得られた知見やつながりを全国の受講生の皆さんと分かち合いたいと考えています。東北の伝統工芸や今も暮らしに息づく風習、温泉や縄文といったテーマを取り上げ、座学に加えて、実際に体験する機会を設けるほか、受講生の皆さんから要望の多い、講師とのコミュニケーションの時間も重視して企画しています。2016年度春季の「東北の縄文文化と芸術」は、縄文文化に関する最新の研究成果を学び、仙台市内の小学生が採掘した縄文の土を使用して縄文土器づくりを行う講座でしたが、公募開始後すぐに定員に達し、関心の高さがうかがえました。講座を通じて、東北の奥深い伝統や文化を体感して頂くと共に、「こども芸術の村」プロジェクトにぜひ一緒に取り組んで頂きたいと思います。

最後に、これから「芸術」を学ぼうとされている方へ、エールをお願いいたします。

「芸術」の扉は、優れた芸術を見聞するだけではなく、人との出会いによって開かれるのではないでしょうか。ご縁があって参加することとなった「こども芸術の村」プロジェクトの取り組みの中で、このことを強く感じています。社会との関わりの中で多様なものの見方や考え方を養い、未知への理解に努め、対話や自らの体験を通して、自分自身の世界を拡張することを日々学んでいます。遊びや一見ムダと思える遠回り、割り算の余りの部分(割り切れない部分)に、物事の本質があるような気がしています。共に学び、問い続け、成長していきましょう。

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